蝶と蛾の違いは?
綺麗な羽が蝶?夜行性が蛾?
その疑問に答えます。

初めに

こんにちは!そして初めまして!

動物バナシの管理人のユーイチです。

皆さんは蝶と蛾と言われて

どんなイメージを持つでしょうか?

おそらく蝶は綺麗な羽を持っていて

蛾は地味で気持ち悪い

みたいな感じありませんか?

または昼間に見かけるのが蝶で

夜の街頭に集まっているのが蛾

こういう風なイメージを

持っていないでしょうか?

なんとなくイメージで

蝶は陽キャで蛾は陰キャみたいな

感じしますよね?

でもそれ実は大間違いなんですよね。

という訳で、今回は

蝶と蛾についてお話していきたいと

思います。

蝶と蛾は何が違うのか?

結論を先に言えば

蝶と蛾に違いはありません。

何故なら、蝶と蛾は同じチョウ目

又は鱗翅(りんし)目・ガ目

学名:Lepidoptera(レピドプテラ)

呼ばれるグループだからです。

このチョウ目は21上科から

成り立っていますが、

チョウはその内の3上科のみが

呼ばれている名前です。

つまり、その3上科に

属さないチョウ目は

全て蛾と呼ばれることになります。

その数の差も凄まじく、

蛾は蝶の実に20~30倍の

種類がいます。

もう少し具体的に言えば、

チョウ目は現在分かっているだけで

約16万種以上います。

そしてこれはまだチョウ目全体の

半数だろうと言われています。

その内の2割、32000種が蝶、

8割の128000種が蛾です。

と言われても、ピンと来ない人も

多いと思うので図を用意しました。

下がチョウ目の系統分類図です。

参照:鱗翅目(蝶と蛾)の分類学的多様化におけるタイミングとパターン

拡大しないと分かりにくいですが、

水色の四角で囲んだ所が蝶になります。

これを見て分かる通り

蛾そのものが多様すぎて、

見た目や行動のみで蝶と区別する事は

そもそも難しいんです。

しかし、研究者は日夜

蝶と蛾の定義を確立し

しっかりと分類していきたいと

考えているのです。

そこで指標の一つとなるのが

見た目や行動パターンです。

次はしっかりとした指標とは

言えないまでも、

ある程度の目安となるものを

紹介していきたいと思います。

見た目での区別の仕方

1,触覚で見分ける

見た目での明らかな違いと

言えるのは触覚です。

蝶の触覚は全体的に細いのが

特徴となります。

形状も色々で棍棒状

鉤状に曲がっているもの

長さが短いものと

様々です。

短く棍棒状のを触覚を持つウラギンアゲハ

先端がカーブしている触覚を持つトリバネアゲハ

一方、蛾の触覚はどうかといえば

櫛状糸状になっています。

元々、この見分け方はチョウ目の

もっとも古い見分け方でした。 

しかしこの触覚での見分け方は

例外が存在するのと

櫛状の触覚はオスのみなので

確定的なものにはなりませんでした。

例外としては、

カストニアガ科

ツバメガ科

ニセツバメガ科

Apoprogonidae 亜科

蛾になります。

これらは蝶と同じように

棍棒状の触覚を持っています。

櫛状の触覚を持つヤママユ

糸状の触覚のヒトリガ

カストニアガ科のPaysandisia archon 

2,翅の繋がり方で見分ける

チョウ目は飛ぶときに前翅と後翅を

1つの翅のようにして動かします。

ただし蝶と蛾では、

前翅と後翅の繋がり方に

違いがあります。

蝶の場合、後翅が前翅に

せり出している為、

前翅と後翅が一緒に動きます。

しかし、蛾は違います。

蛾の場合、後翅と前翅は

翅棘(しきょく)という棘に

抱鉤(だきかぎ)と呼ばれる

フックによって繋がっているので

前翅と後翅が一緒に動きます。

ナミアゲハの後翅が前翅にせり出している。

蛾の翅棘:ここにフックになる抱鉤で前翅と後翅が繋がっている

ただしこれにも例外はあります。

翅棘を持たない蛾もいれば、

逆に翅棘を持つ蝶も

存在します。

翅棘を持つ蝶 ラッフルズセセリ

3,蛹の形で見分ける

多くの蛾の幼虫は

絹で出来た繭の中で

蛹に変化していきます。

一方の蝶は固いタンパク質で出来た

剝き出しの蛹を作ります。

またこの蝶の蛹を

海外ではクリサリスと呼びます。

ただし、これにも例外があります。

スズメガの仲間は繭を作らず、

土の中で蛹になるものもいます。

またマイマイガなどは蛹の形で

樹木にぶら下がっています。

逆にウスバシロチョウの仲間は

蝶の仲間ですが繭を作ります。

左が蛾の繭、右が蝶の蛹(クリサリス)

上の段 左:スズメガ  右:マイマイガ

下の段 ウスバシロチョウ

4,翅の色で見分ける

多くの蝶は、

皆さんがイメージしている通りの

明るい翅の色をしています。

一方、蛾といえば

黒、白、茶色、グレー等の

地味な色をしてるイメージが

ありますよね?

ですが、世界で一番綺麗だと

言われているチョウ目は

実は蛾の方なんです。

現地では「高貴なる蝶」と呼ばれる

ニシキオオツバメガです。

また、日本原産の綺麗な蛾といえば

サツマニシキも有名です。

上 世界で一番綺麗なチョウ目と呼ばれるニシキオオツバメガ

下 日本原産のサツマニシキ

5,身体つきで見分ける

蝶と蛾は身体つきでも

見分ける事があります。

当然、これにも例外が多く

存在するんですが、

一般的に蝶は体の部分が細くて

体毛が少ないです。

その一方で蛾の身体は、

太くてどっしりしていて、

体毛が多いです。

しかし、どちらかといえばこの違いは

蝶と蛾を分けるよりも

昼行性か夜行性の違いを分けるものだと

個人的には思います。

何故なら昼行性の蛾は

見た目はほとんど蝶ですし、

夜行性の蝶は体毛が多くなっています。

上・中段 昼行性の蛾:ヒョウモンエダシャクとキンモンガ

下段 夜行性の蝶:シャクガモドキ

行動の違いで区別する

1,活動時間で見分ける

先程の身体つきの所で少し触れましたが

活動時間の違いでも、

ある程度見分ける事が出来ます。

一般的に言えば、

蝶は昼行性で蛾は夜行性

そんなイメージがあると思います。

しかし、蝶の中にも

夜行性のシャクガモドキ科や

スゴモリシロチョウ。

早朝の4時頃から活動する

クロミドリシジミ等々。

昼行性以外の蝶は意外と多いんです。

そしてそれ以上に

昼行性の蛾は多いです。

もう一度言いますが、

蛾は蝶の20~30倍の数です。

蝶だと思っていたものが、

実は蛾だったなんて事が

結構あると思います。

夜行性の蝶 上段 シャクガモドキ

        下段 スゴモリシロチョウ

早朝に活動するクロミドリシジミ

昼行性の蛾 上段 ニシキオオツバメガ

  下段 ホタルガ

2,休憩姿勢で見分ける

蝶と蛾を見分けるのには

休憩中の姿勢というのもあります。

ところで、チョウ目の休憩姿勢には

3種類あるのを知っていましたか?

羽を立てて休む姿勢

羽を広げて休む姿勢

その中間の姿勢(ジェット型)

この3種類です。

もしかしたら、中間の姿勢は

想像するのが難しいかもしれません。

でも観察すると、

ちゃんとその姿勢で休んでいるので

機会があれば見てみてください。

話を戻すと、休憩姿勢では

蝶は羽を立てて休憩し、

蛾は羽を広げて休憩する

聞いた事があると思います。

しかし、これも一概には

言い切れません。

アゲハチョウは羽を広げて

日光浴をしている所を

よく見かけます。

またセセリチョウ科の種は

チョウ目がとる3種類の休憩姿勢を

取ります。

また蛾は、羽を広げるだけの

スペースがなければ、

羽を立てて休むこともあります。

結局のところ、この違いは

どこに止まって休憩しているかに

よるのかもしれません。

チョウ目の3種類の休む姿勢

羽を立てて休むコヒゲセセリ

羽を広げてや数ダイミョウセセリ

中間型で休むコキマダラセセリ

まとめ

どうでしたか?

蝶と蛾の関係性が

少し分かって頂けたでしょうか?

今回の話をまとめると、、、

そもそも蝶と蛾に

大きな違いは無い。

大まかに区別できる場所はあるが

例外があり過ぎるので、

正確ではない。

こんな感じです。

実際、チョウ目の多様性には

驚くことが多いです。

皆さんも、外に出た際には

チョウ目を気にしながら

周りを見てみてはいかがでしょう?

景色がほんの少しだけ

変わって見えと思います。

それでは今回はここまで。

最後までお読みいただき

ありがとうございました。

画像参照:Wikipedia

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