素因数分解は、中学受験の算数において非常に重要なテーマの一つです。単純な計算から応用問題まで幅広く使われるため、基礎をしっかり理解しておくことが必要です。このブログでは、素因数分解の基本的な考え方から、実際の中学受験問題への応用例までを解説します。
素因数分解とは?
素因数分解とは、1以外の整数を「素数」の積で表すことを指します。### 素数とは?
素数とは、1とその数自身以外に約数を持たない数のことです。
- 例: 2, 3, 5, 7, 11 など。
- 特徴: 2は唯一の偶数の素数です。また、3や5もほかに割り切れる数がないため素数です。
一方で、以下のような数は素数ではありません:
- 4(2で割り切れる)
- 6(2と3で割り切れる)
このように、素数とそうでない数の違いを知ることで、数の性質をより深く理解することができます。
例えば、12を素因数分解すると次のようになります。
12 = 2 × 2 × 3
すべての数を素数の積で一意的に表せるという特徴があります。つまり、どのような方法で分解しても、最終的に得られる素因数の組み合わせは常に同じになります。これは算数の基本的な性質の一つで、数の性質を理解する上で重要なポイントです。
素因数分解の手順
素因数分解をする際は、小さい素数から順に割っていく方法を使います。
例として、72を素因数分解してみましょう。
- 2で割る:72 ÷ 2 = 36
- もう一度2で割る:36 ÷ 2 = 18
- さらに2で割る:18 ÷ 2 = 9
- 次は3で割る:9 ÷ 3 = 3
- 最後に3で割る:3 ÷ 3 = 1
これをまとめると、
72 = 2 × 2 × 2 × 3 × 3
となります。このように、割り算を繰り返して1になるまで計算を進めます。
素因数分解のポイント
- 小さい素数から試す 最小の素数である2から順に試していくと効率的です。
- 割り切れない場合は次の素数へ 割り切れなくなったら次の素数(3, 5, 7…)を試します。
素因数分解を使った応用問題
中学受験では、素因数分解の知識を使った最大公約数(GCD)や最小公倍数(LCM)の問題が頻出です。
例題1:最大公約数
48と72の最大公約数を求めなさい。
【解答】 まず、各数を素因数分解します。
48 = 2 × 2 × 2 × 2 × 3
72 = 2 × 2 × 2 × 3 × 3
次に共通する素因数を選び、それらを掛け合わせます。
2 × 2 × 2 × 3 = 24
したがって、最大公約数は24です。
例題2:最小公倍数
48と72の最小公倍数を求めなさい。
【解答】 同様に、素因数分解を行います。
48 = 2 × 2 × 2 × 2 × 3
72 = 2 × 2 × 2 × 3 × 3
今度はそれぞれの素因数をすべて掛け合わせます(重複は一度だけ数える)。
2 × 2 × 2 × 2 × 3 × 3 = 144
したがって、最小公倍数は144です。
素因数分解を使った頻出問題
素因数分解を使う問題には以下のようなものがあります。
- 連続する整数の積 例:「2桁の整数の積が360になる場合、その2桁の整数を求めなさい。」 360を素因数分解すると 360 = 2 × 2 × 2 × 3 × 3 × 5 これを元に考えられる整数の組み合わせを探します。
- 整数の条件を満たす最小値・最大値 例:「3桁の数で、72で割り切れる最小の数を求めなさい。」 72を素因数分解して条件を整理し、3桁の範囲内で解を導きます。
素因数分解を学ぶメリット
素因数分解は、ただ計算するだけでなく、数の性質を深く理解するための重要なツールです。例えば、ある数が特定の条件で割り切れるかどうかを判断する際に、その数を素因数分解することで簡単に確認できます。また、これを使えば数の構造を明確にし、複雑な問題を簡単に解くことができます。さらに、最大公約数や最小公倍数を求めるスキルは、中学受験に限らずその後の数学学習でも役立ちます。
素因数分解の基本と応用を理解することで、計算力が飛躍的に向上します。しっかり練習を重ねて得意分野にしましょう!
練習問題
- 次の数を素因数分解しなさい。
- (1) 84
- (2) 150
- 次の数の最大公約数を求めなさい。
- (1) 60と90
- (2) 56と98
- 次の数の最小公倍数を求めなさい。
- (1) 40と60
- (2) 45と75
【答え】
- 素因数分解
- (1) 84 = 2 × 2 × 3 × 7
- (2) 150 = 2 × 3 × 5 × 5
- 最大公約数
- (1) 60 = 2 × 2 × 3 × 5, 90 = 2 × 3 × 3 × 5 最大公約数 = 2 × 3 × 5 = 30
- (2) 56 = 2 × 2 × 2 × 7, 98 = 2 × 7 × 7 最大公約数 = 2 × 7 = 14
- 最小公倍数
- (1) 40 = 2 × 2 × 2 × 5, 60 = 2 × 2 × 3 × 5 最小公倍数 = 2 × 2 × 2 × 3 × 5 = 120
- (2) 45 = 3 × 3 × 5, 75 = 3 × 5 × 5 最小公倍数 = 3 × 3 × 5 × 5 = 225