和差算は、中学受験に向けた算数の学習において基礎的でありながら、応用力を養うのに適した重要な単元です。2つ以上の数量の「和」(合計)と「差」(引き算の結果)から、それぞれの値を求める方法を理解すると、算数の考え方がグッと広がります。このガイドでは、和差算の基本から応用まで、初級・中級・上級の例題を通して解き方を解説します。
和差算の基本とは?
和差算とは、2つ以上の数量の「和」(合計)と「差」(違い)から、個々の数値を求める計算方法です。中学受験では、2つの数量の和差を求める問題から、3つ以上の数量を扱う応用問題まで出題されます。和差算をマスターすることで、他の文章題や割合問題にも強くなれます。
初級問題
問題
兄と弟の年齢の合計は18歳です。兄の年齢は弟より4歳年上です。兄と弟の年齢を求めましょう。
解き方
- 弟の年齢を□で表す
- 弟の年齢を「□」とします。
- 兄の年齢を「□+4」で表す
- 兄は弟より4歳年上なので、「□+4」となります。
- 全体の年齢を式にする
- 兄と弟の合計が18歳なので、次の式が成り立ちます: □+(□+4)=18
- 式を整理して□を求める
- 2□+4=18
- 2□=14
- □=7
- 各年齢を求める
- 弟の年齢が7歳。
- 兄の年齢は「7 + 4 = 11歳」。
- 青い線が弟の年齢(7歳)を示しています。
- 緑の線が兄の年齢のうち、弟と同じ年齢分(7歳)を示しています。
- 灰色の線が兄が弟より年上の4歳分を表しています。
答え
兄は11歳、弟は7歳です。
中級問題
リンゴとみかんの個数の合計は32個で、リンゴの個数はみかんより6個多いです。リンゴとみかんの個数をそれぞれ求めましょう。
解き方
- みかんの個数を□で表す
- みかんの個数を「□」とします。
- リンゴの個数を「□+6」で表す
- リンゴはみかんより6個多いので、「□+6」となります。
- 全体の個数を式にする
- リンゴとみかんの合計が32個なので、次の式が成り立ちます: □+(□+6)=32
- 式を整理して□を求める
- 2□+6=32
- 2□=26
- □=13
- 各個数を求める
- みかんの個数が13個。
- リンゴの個数は「13 + 6 = 19個」。
- オレンジの線がみかんの個数(13個)を表しています。
- 赤の線がリンゴのうち、みかんと同じ個数分(13個)を示しています。
- 灰色の線がリンゴがみかんより多い6個分を示しています。
答え
リンゴは19個、みかんは13個です。
上級問題
問題
男子と女子の人数の合計は80人で、男子の人数は女子より10人多いです。また、先生の人数は男子の人数より20人少ないです。男子、女子、先生の人数をそれぞれ求めましょう。
解き方
- 女子の人数を□で表す
- 女子の人数を「□」とします。
- 男子の人数を「□+10」で表す
- 男子は女子より10人多いので、「□+10」となります。
- 先生の人数を「□-10」で表す
- 先生は男子より20人少ないので、「□+10-20」、つまり「□-10」となります。
- 全体の人数を式にする
- 男子、女子、先生の合計が80人なので、次の式が成り立ちます: □+(□+10)+(□−10)=80
- 式を整理して□を求める
- 3□=80
- □=26
- 各人数を求める
- 女子の人数は26人。
- 男子の人数は「26 + 10 = 36人」。
- 先生の人数は「26 – 10 = 16人」。
- 紫の線が女子の人数(35人)を示しています。
- 青の線が男子のうち、女子と同じ人数分(35人)を示しています。
- 灰色の線が男子が女子より多い10人分を示しています。
- 緑の線が先生の人数(25人)を示しています。
答え
女子は26人、男子は36人、先生は16人です。
まとめ
和差算は、中学受験の算数において基礎的な計算力と論理的思考力を養うために欠かせない分野です。和差算の基本的な考え方を身につけると、文章問題や応用問題においても自分で整理して解答を導ける力が身につきます。
- 初級では、2つの数量の和と差から個々の値を求めるシンプルな問題に取り組み、平均や基準値を使って解くことに慣れることがポイントです。
- 中級では、和差算の応用力を問われる問題に挑戦し、合計と差のバランスをうまく扱う練習が必要です。
- 上級では、3つの数量が登場する問題に取り組むことで、複数の条件を整理し、方程式を立てて解く力を養います。
和差算は「合計」と「差」を基にして考えることで、それぞれの数量を的確に求める力が鍛えられます。日常的に和差算の練習をすることで、思考力と算数の理解力が自然と深まります。親御さんもお子さんのサポートをしながら、問題を一緒に考えたり、手順を確認することで、算数の面白さを共に感じていただければ幸いです。