動物の耳が魚のエラだったって本当?
中耳炎と陸棲動物の意外な繋がり

初めに

こんにちは!そして初めまして!

動物バナシの管理人のユーイチです。

皆さんは中耳炎って病気

一度くらいは聞いた事ありますよね?

皆さんは自分たちの耳が実は魚のエラらか出来たって知っていましたか?

生物が陸に進出する事によって魚のエラは本来の役目から別の役目を持つ機関に作り替えられました。

それが今の私たちの耳になります。

そしてもう一つ、耳が出来る事によって新たな病気が生まれました。

それこそが中耳炎なんです。

ご存じの方も多いと思いますが、中耳炎とは耳の中耳という場所が炎症することによって起こる病気です。

では何故そんなことになったのか、今回は中耳の成り立ちを含めてお話をしていきたいと思います。

生物は海から始まり、陸地に進出するようになってどのようにして中耳が作られていったか?

水生生物が持つエラがどうやって耳になるのか?

それでは早速行ってみましょう。

中耳は何から出来たのか?

水から陸地に進出した生物達は、膜迷路に空気の振動を伝えるための新たなシステムが必要になりました。

そもそも水棲動物達は骨伝導で音を聞いてるので、空気の振動で音を感じるシステムがなかったのです。

魚の骨伝導についてはこちらもどうぞ

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その為に作られたのが中耳です。

その中耳を作るために利用されたのが、水生動物達の呼吸器である鰓(エラ)です。

陸に上がった為、呼吸器として肺を使うようになり、エラが不要になったからです。

エラが中耳になる過程はこう考えられています。

円口類、魚類、および両生類の幼生には咽頭の横に「鰓裂(さいれつ)」という裂孔があります。

鰓裂には、咽頭に開口している「内鰓孔(ないさいこう)」にはじまり、咽頭壁を貫いて眼球の後方に並ぶ「外鰓孔(がいさいこう)」となって体外に開いています。

鼓室と鼓膜の形成

鰓裂の前後壁には、毛細血管に富んだ「鰓弁(さいべん)」が発達しています。

口から入った水は、鰓裂を通って外に出るまでの間に鰓弁を通ります。

そこで毛細血管の血液とガス交換(呼吸の事)します。

円口類のヤツメウナギでは眼球の後方に7つの外鰓孔が並んでいます。

軟骨魚類になると顎の骨格が発達してくる為、最も頭の側にある外鰓孔だけが眼球のすぐ後方にに移って、「呼吸孔(噴水孔)」になります。

陸上に上がった脊椎動物では、不要になった鰓裂は呼吸孔だけを残して退化しました。

呼吸孔の外表面には膜が張り、これが鼓膜になっていきました。

呼吸孔だった場所は鼓室となり、鼓室と咽頭との連結部は耳管として残ることになりました。

そして鼓室と耳管から陸棲動物の中耳が作られ、新しい聴覚の受容システムが出来たんです。

なので魚類には陸棲動物の中耳に相当するようなものは存在しません。

軟骨魚類

両棲類・爬虫類・鳥類

哺乳類

呼吸孔の外表面に鼓膜が張り鼓室が出来た。顎舌骨は大きくなった鼓室に取り込まれて「軸柱(アブミ骨」になった。

画像参照:Wikipedia

陸棲動物と中耳炎の関係

中耳がまだ呼吸孔だった頃は体外と通じていました。

そこには絶えず新鮮な水が通り、水棲動物達は呼吸を行っていました。

しかし、中耳が完成すると鼓室は鼓膜によって外部と遮断されてしましました。

これにより鼓室の中は吹き溜まりのような状態になり、細菌感染等が起きやすくなってしまいました。

中耳に炎症が起こった状態が中耳炎です。

つまり、中耳炎は生物が陸上に適応したこちによってはじめて現れた病気なんです。

高低差で耳キーンってなる現象は何故?

鼓室は耳管によって咽頭とつながっています。

耳管には鼓室内の気圧を外気圧と同じように調整する役割があります。

飛行機の上昇や降下の際に耳が痛くなるのは、気圧調整が間に合わず、外気圧と鼓室内の気圧差によって鼓膜が引き延ばされてしまうからです

そのような時は唾液を飲み込んだり、あくびをしたりすると、咽頭とつながった時間が大きく開き気圧が調整されます。

これによって耳の痛みが取れるんです。

リサイクルされた耳小骨

鼓室の中には「耳小骨(じしょうこつ)」というとても小さな骨が入っています。

中耳は内耳と外耳の間にあり、鼓室と耳管で出来ています。

鼓室の中に耳小骨があり、耳小骨は鼓膜の振動を内耳の前庭窓に伝えます。

中耳の内部

耳小骨の役割についてはこちら

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耳小骨も、エラを支えていた骨格や、上顎や下顎を構成する骨格が作り変えられる際に、いらなくなった骨の一部などを寄せ集めて作り上げた物です。

実は両棲類・爬虫類・鳥類の耳小骨には「耳小柱(アブミ骨にあたるもの)」と呼ばれる1個しかありません。

しかし、哺乳類には鼓膜側から、ツチ骨・キヌタ骨、アブミ骨という3個の骨が連結しています。

身体の器官をリサイクルする話はこちらもどうぞ

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まとめ

どうでしたか?

今回の話をまとめると・・・

陸棲動物の中耳は水生動物のいらなくなった鰓からリサイクルされて作られた。

生物が陸上に進出したことにより耳が進化し、それまでなかった中耳炎などの病気も生まれるようになった。

鼓室の中の小さな骨である耳小骨も鰓や顎の骨を使って作られたものである。

しかし本当に生物の進化は不思議です。

必要だと感じたら体を変化させて作り出し、不要になれば徐々に消えていく。

そう思うと、何かにデザインされて作り出してるように感じる人がいても、おかしくないと思ってしまいますね。

それでは今回はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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