外耳・耳介とは?
犬や猫、人の耳介は何の為にある?
詳しく解説します。

初めに

こんにちは!そして初めまして! 動物バナシの管理人のユーイチです。

みなさんは「外耳(がいじ)」と言われて、どこの事だか分かりますか?

勘違いしている人がいるかもしれませんが、外耳とは我々が呼んでいる「耳」の部分の事ではありません。

外耳とは、私たちの顔の両側にある皮膚のひだである「耳介(じかい)」と、「外耳孔(がいじこう)」と呼ばれる耳の孔から鼓膜に至るまでの「外耳道(がいじどう)」の総称です。

そして陸上に住む脊椎動物には、空気中を伝わる音波を効率よく伝えるために外耳が発達している動物が多いです。

今回は外耳がどのように進化し、役割を担ってきたのかを話していきたいと思います。

それでは早速行ってみましょう。

進化すると鼓膜は奥に行く

私はカエルが好きで、実際飼っているのですが、カエルを観察すると目の後ろに丸い模様があります。

実はこれは鼓膜がむき出しになっているんです。

両棲類には外耳道がなく、鼓膜の周囲の皮膚と同じ平面で並んでいて、体表に露出しています。

ですが、爬虫類や鳥類になると、鼓膜が体表からやや陥凹して、短い外耳道が出来てきます。

哺乳類になると、鼓膜はさらに深く陥凹して、外耳道が長くなります。

ヒトの外耳道は約2.5cmになります。

鼓膜を奥に引っ込ませたのは、鼓膜を保護するためです。

外耳道の外方の約$\frac{1}{3}$は軟骨に、内包の約$\frac{2}{3}$は骨組織に囲まれています。

外耳道の表面は皮膚に覆われていて、その皮膚には汗腺の1種である「耳道線」があります。

耳道線からの脂肪性分泌物と、はく離した上皮などが混ざったものが耳垢なんです。

これに関連する話で、よく「ワキガ」の原因に耳垢が湿っているって聞いた事ありませんか?

これは何故かというと、先程の外耳道は皮膚に覆われていて汗腺の耳道線があるといいましたよね?

この外耳道の汗腺はアポクリン汗腺のみです。

汗腺にはアポクリン汗腺とエクリン汗腺の2つがありますが、この内、ワキガの原因となるのはアポクリン汗腺です。

つまり耳垢が湿っている人は、アポクリン汗腺の汗によって湿っているのです。

そして外耳道にアポクリン汗腺がある人は、高い確率で腋の下にも多くのアポクリン汗腺があります。

この事から、耳垢が湿っている人はワキガの可能性があると言われているのです。

音を集める「耳介」

鼓膜が徐々に陥凹する事によって、外耳孔の周囲の皮膚は隆起していきます。

これが耳介(じかい)です。

耳介の基本的な役割は集音です。

私達は音が聞き取りにくい時、反射的に耳の後ろに手をかざしますよね?

実はこれ、耳介の面積を補って、聞きたい音を集めようとする動作だったんです。

両棲類では、体表に鼓膜が張っていて耳介はありません。

爬虫類や鳥類は耳介はありますが小さいです。

ですが、哺乳類になると、外耳孔の周囲に大きな耳介を持っています。

哺乳類の耳介は、動物種による特徴が表れています。

例えば、猫やウサギの耳介は円筒を斜めに切ったような形をしています。

このような耳介の先端のとがった部分を「耳介尖(じかいせん)

霊長類の耳介は「耳介尖」のあるタイプが原型だと考えられています。

サルから人に近づくにつれて、耳介尖は内側に移動して小さくなっていきました。

そして耳介の周囲が内側に折れ曲がって、「耳」輪が出来てきました。

人によっては、もともと耳介尖だった部分が「耳介結節(ダーウィン結節)」として確認できる人もいます。

もしかしたら、あなたの耳も耳介結節があるかもしれませんよ。

耳介尖が徐々に小さくなって人のダーウィン結節になった。

参照:Wikipedia

耳介の役割は集音だけじゃない

実は耳介の役割は音波を集めるだけではなく、不要な音波を遮断する働きもあります。

ウマ・ウサギ・イヌ・ネコ等は、左右の耳が別々に動かすことが出来ます。

これによって、あらゆる方向の音波を集める事が出来るんです。

例えば、怪しい音を聞くと、両方の耳をその方向に向け、音をはっきり聞くと同時に、音がする方向を探ります。

と同時に、耳介を音源と反対方向に向ける事で、不要な音波を遮断しているんです。

コウモリやオポッサム等は、眠るときに耳介を折りたたむことが出来ます。

これは眠りを妨げられないように防音する為にしているんです。

では、我々人の耳介はどうでしょう?

人の耳介は凹凸のある複雑な形をしていますが、この凹凸はただの模様ではなく、音源の方向を知る上でとても重要な役割を果たしているんです。

逆に凹凸のない耳介と言えばゾウの耳です。

その為、ゾウの耳は集音装置としてはあまり役に立っていません。(ゾウは足の裏で音を聞きます)

実はあの耳は、あの面積の大きさから体の熱を逃がす働きをしているんです。

音で位置を探る音源探査について

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まとめ

どうでしたか?

今回は外耳についての話でした。

今回の話をまとめると・・・

  • 陸上に住む脊椎動物は外耳が発達しているものが多い
  • 進化するにつれて鼓膜は奥に入っていった。
  • 耳介の役割は集音と遮断である。

こんな感じです。

それでは今回はここまで。

最後までお読みいただき ありがとうございました。

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