進化バナシ⑰
こんにちは!そして初めまして!
動物バナシの管理人
理学療法士&エボルファンクショニスト
ユーイチです。
皆さんは夜に野良猫などを見て
目が光っている姿を
見たことありませんか?
なんとなく不気味な感じがする
あの現象は実はある器官で
起きているんです。
その器官の名前はタペータム。
目の中で光を反射する板の名前です。
今回はそのタペータムについて
お話していきたいと思います。
それでは早速行ってみましょう (‘◇’)ゞ
目の構造その1:硝子体
まずは目の断面図を
見てみましょう。
真ん中のところに
硝子体(しょうしたい)
というのがありますね?
この硝子体は
透明のゼリー状になっています。
これは眼房水と同じように
眼球の内圧を保つ役割をしています。
眼房水についてはこちら
「角膜と強膜と虹彩」 外側眼の構造
つまりこの硝子体が無いと
眼球の形の維持が出来ません。
そんな硝子体が少しでも濁ると
目の前を蚊が飛んでるように見えます。
それを飛蚊症といいます。
ゼリー状のものが濁っただけで
そんな風になるなんて怖いですよね。
目の構造その2:三つの眼球壁
硝子体の周囲は
3つの眼球壁に
取り巻かれています。
一番内側には
網膜と色素上皮層
があります。
日本眼科学会HPより転載
因みに、
網膜が色素上皮層から剝がれるのを
網膜剥離といいます。
参照:平田眼科
ボクサーがよくなるイメージですが
加齢によっても起こる病気ですね。
次に中間の層には血管と色素を含んだ
眼球血管膜があります。
眼球血管膜は
脈絡膜・毛様体・虹彩が
一体となった時の総称です。
眼球血管膜は
形態と色調がブドウに似ているので
別名でブドウ膜
とも呼ばれています。
そのブドウ膜の後部が
脈絡膜と呼ばれているんです。
そして一番外側には
強膜が存在しています。
強膜とは眼球の白目部分の所です。
内側から網膜・脈絡膜・強膜の順に並んでいる。
目の構造その3:タペータム
ではここで今回の本題である
なぜ夜行性の動物の眼が光るのか?
に話を戻したいと思います。
実は夜行性の動物には
この脈絡膜に一つ膜が
存在しています。
その膜の名前を
タペータム(輝板・タペタム)
と呼びます。
このタペータムは少しの光で
物を見るように進化した器官です。
虹色~青色に見えている所が子牛のタペータム
参照:Wikipedia
これがどういう働きを
しているかというと、
まず外から目に入った光が
網膜に入ります。
そしてその光が網膜を通り
脈絡膜にまで届きます。
そしてここでタペータムが
その光を反射させもう一度
網膜に戻します。
つまりタペータムとは
網膜を通り抜けた光を
もう一度網膜へ戻す役割なんです。
言ってしまえば、
たったこれだけの事なのですが
猫はこのタペータムがある事により
視力の感度を44%も増加させます。
またタペータムによって
猫は人間が知覚できない光も
見ることが出来るのです。
ですが、タペータムがによって
障害も発生します。
それはこれがあると
光が網膜を2回横切る事になるので
像がぼやけるんです。
4種類のタペータム
タペータムは解剖学的に
大きく4つに分類されます。
網膜色素上皮内のタペータム
タペータムが網膜上皮内にあるタペータム
これは1種類です。
これを
網膜タペータム(Retinal tapetum)
と呼びます。
このタペータムを持つ種は
硬骨魚・ワニ・有袋類・フルーツコウモリと
言われています。
網膜タペータムを持つ動物例
参照:Wikipedia
脈絡膜内にあるタペータム
次は網膜の後ろ、
脈絡膜内にあるタペータムです。
これは3種類あります。
まず一つ目は、
脈絡膜グアニンタペータム(Choroidal guanine tapetum)
このグアニンはDNAで使われる
シトシン・アデニン・
チミン・グアニンのグアニンです。
このタペータムを持つ種は
軟骨魚になります。
グアニンタペータムを持つ動物例
参照:Wikipedia
二つ目は、
脈絡膜細胞体タペータム(Choroidal tapetum cellulosum)
このタペータムは
高結晶の細胞の層で出来ています。
このタペータムを持つのは
肉食動物・げっ歯類・クジラ
になります。
細胞体タペータムを持つ動物例
参照:Wikipedia
最後の3つ目は、
脈絡膜繊維体タペータム(Choroidal tapetum fibrosum)
このタペータムは
細胞外繊維の配列の
タペータムになります。
子のタペータムを持つ動物は
牛・馬・山羊・羊になります。
上段左から 偶蹄目のウシ・奇蹄目のウマ・偶蹄目のヤギ
下段 偶蹄目のヒツジ
参照:Wikipedia
因みにこの分類の中には、
タペータムを持つ鳥は
含まれていません。
しかし一部の夜行性の鳥も
タペータムを持つものはいます。
タペータムを持たない動物達
一方でタペータムを
持たない動物もいます。
その動物たちは昼行性であり、
活動のする時間は太陽が出ている
明るい時間帯です。
その代表が私達人間を含む、
直鼻亜目の霊長類です。
しかし、曲鼻亜目の場合は
はほとんどが夜行性の為
タペータムは持っています。
夜行性の曲鼻亜目が気になる人はこちらもどうぞ
スローロリス
それ以外にも、
リス・アカカンガルー・一部の鳥・豚等が
タペータムを持っていません。
目が光る現象の名前
夜の中に動物の眼に光に当たって
目が光っている現象に
実は名前がある事知っていましたか?
あの現象をアイシャインと呼びます。
ネコのアイシャイン 参照:Wikipedia
あの現象がある事で
タペータムを理解しやすいです。
面白い事にアイシャインにも
何種類かの色があります。
白・青・緑・ピンク・赤等、
実に様々な色があるんです。
この色の違いは
見る角度とタペータムの種類によって
変わります。
白いアイシャインは魚に多く、
青いアイシャインはウマなどの
哺乳類に多く、
緑のアイシャインは
イヌ・ネコ・アライグマ、
そして赤いアイシャインはコヨーテ、
げっ歯類、オポッサム、鳥等に
見られます。
イヌの緑のアイシャイン 参照:Wikipedia
人もアイシャインになる?
夜に写真を撮ると
目が赤くなっている事
ありませんか?
ここまでの話からすると
あれもアイシャインかと
思うかもしれませんが、
人間のあの現象は別物で
アイシャインではなく
赤目効果と呼ばれるものです。
アイシャインはあくまでも
タペータムが光って起こる現象です。
人間にはタペータムが無いので
アイシャインは起きません。
あの現象は目の中の
脈絡膜の血管が写って
赤く見えるんです。
まとめ
どうでしたか?
今回はタペータムについでした。
今回の話をまとめると・・・
夜中に動物の眼が光るのは
タペータムがあるから。
タペータムの種類は複数ある
目が光る現象をアイシャインと呼ぶ
という感じですね!
それでは今回はここまで。
最後までお読みいただき
ありがとうございました (*’▽’)